Q00. 「ESR50のぎもん」について
電子スピンサイエンス学会は、電子スピンが関わる広範な科学技術について興味をもつ人が集まった一般社団法人です。その会員の多くは、研究や開発、ビジネス、教育などで、電子スピン共鳴(ESR)を計測する分光装置を使用しています。このESRは、可視紫外や赤外など他の汎用分光計測装置に比べ、測定原理や計測のノウハウなどでやや特殊な事情をかかえています。そのため、適切な測定条件や試料の調整について誤解があったり、測定結果に対して誤った解釈をしてしまうことがあるかと思います。ESRは大変便利なツールであることは間違いない事実ですので、「ちょっとした疑問は早く解消し、皆様にESRを身近に感じていただきたい」との思いが電子スピンサイエンス学会にはあります。
今回、公開することとなりました「ESR50のぎもん」は、このような動機から制作することとなりました。まず始めにESR測定に関わっている方々から素朴な疑問を募り、それを50件に集約いたしました。これに対し、電子スピンサイエンス学会の会員に疑問の回答をなるべく平易な表現で用意するように依頼し、全体を取りまとめました。1問につき、1~2ページ程度の回答文章および挿絵を入れ、柔らかい雰囲気の仕上がりになるように配慮いたしました。50件の疑問となると、対象範囲は大変広く、「初学者に対して」を謳い文句として制作しましたが、ベテランの方々でも意外な発見があるかもしれません。
公開にあたっては、利便性を重視してWeb公開方式といたしました。皆様におかれましては、「ESR50のぎもん」を気軽にお使いいただき、ESRを用いた活動に役立てていただけることを、編集担当者として願っております。また、ESRへの疑問は50につきないかと思います。Web公開の利点を活かし、今後、内容が拡大していくことも期待しております。
2022年8月16日
一般社団法人 電子スピンサイエンス学会
第09期 学術事業担当 理事
山中 千博(大阪大学)
第10期 学術事業担当 理事
河合 明雄(神奈川大学)