Q15. 試料管に石英ガラスが使われているのはなぜですか?

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 ESRの試料管は通常、5-7 mm程度の外径をもった細長い石英ガラス管です。天然石英(Natural Quartz)を用いた製品と,より高純度な合成石英(Suprasil Quartz)を用いた製品があり、途中でパイレックスガラス管を継いであるものが多いです。一方、NMRでは、パイレックスなどのホウケイ酸塩ガラスを使っているので経済的です。ESRでは、なぜわざわざ高価な石英管を使っているのでしょうか?

 これは、ESRで使っているマイクロ波の試料管による吸収(誘電吸収:誘電損)を少なくするためです。また、より高純度な石英では、不純物によるESRのノイズが少なくなります。より精密な測定を必要とする場合は、試料管の寸法精度を高めておくと、分析の再現性が向上します。小さなESR信号からスピン数の定量などを行う場合は、注意しましょう。少し大きな試料を測定する場合は、外径10 mm程度の試料管を使う場合がありますが、肉厚のものは誘電損があるため、避けたほうがいいでしょう。

 ESR試料管は、高価なので、洗浄して再使用する場合もあります。
1)紛体、固体物がある場合はまず 機械的に除きます。径2 mm程度の銅線を延ばして、その先端に洗浄用の紙などを巻いて掻き出すといいでしょう。
2)次に洗剤・水による洗浄を行います。傷がつかないように注意しましょう。
3)アセトン又はアルコールで洗浄したのち、口を下にして乾燥機内で乾燥します。