Q43. EDMRってなんですか?
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ESR50Qs
EDMRは電気検出磁気共鳴(Electrically Detected Magnetic Resonance)法の略称です。整流ダイオード、発光ダイオード(LED)、太陽電池、燃料電池などの半導体が測定対象となります。
禁制帯(伝導帯と価電子帯のエネルギー差)には、電子またはホールの一方のキャリア(電荷を担うもの)を捕獲すると直ちに他方のキャリアを捕獲する機能をもつ再結合中心と呼ばれる格子欠陥(不純物準位)があります。再結合中心の電子スピンをESRにより反転させるとホールとの再結合確率が変化することで、電気抵抗の変化が生じるためこれを電流の変化として検出します。電流変化を検出するため、通常のESRよりも感度が良いとされています。EDMR測定では電極をつないだ試料を共振器に設置し、通常のESR測定と同様にマイクロ波を照射しながら磁場を掃引して電気抵抗の変化を調べます。
半導体の EDMR 信号が容易に観察されるかどうかは、禁制帯中での再結合中心の位置に依存すると言われています。深い準位に再結合中心がある場合は、室温でも比較的容易に EDMR 信号が観測されます。一方、浅い凖位に再結合中心が存在する場合、極低温まで冷却することではじめて観測される場合があります。