Q26. g値の異方性とは? どのくらいg値は正確に求められるのですか?

Category: ESR50Qs

 宇宙にポツンといる自由な電子なら、上下左右はないので異方性は無いはずです。でも、私たちがESRを測るのは、「何か『もの』の性質や構造を調べたい」と思っているからですね?それらは、分子だったりタンパク質だったり結晶中のイオンだったり様々ですが、形作っている物に違いありません。つまり複雑な形を伴った異方性のあるものでしょう。同時にESR信号を与える電子のフロンティア軌道(電子の分布)も形があるもの、すなわち異方性があります。このフロンティア軌道や近いエネルギーレベルの電子の拡がる形がg値の異方性を与えます。最近では量子化学計算も発達してきているので分子の形から異方的なg値の大きさを求めることも可能になってきています。

 g値とは、加えるエネルギー(周波数)と磁場の大きさの比に関わるものです。ですからg値を正確に求めるには、周波数と磁場をいかに正確に求めるか?がポイントになります。周波数は周波数カウンターを用いることで精度良く求めることが可能です。一方で磁場は電磁石の場合ヒステリシス(履歴)がありますので、その実験時の磁場を読み取る必要があります。ホール素子の場合は、4桁程度、NMRを用いた磁場計の場合には6~7桁程度の精度があります。ホール素子の場合でもMnOなど標準物質で校正し精度を上げることも出来ます。一方で、特に線幅が広いESRスペクトルの場合にはいかに綺麗な信号を得るかが問題になり、フィッティングを掛けたときの誤差が支配的になることもあります。