Q40. PELDORとかDEERなどは どこが違うのですか?

Category: ESR50Qs

 PELDORはPulsed ELectron-electron DOuble Resonance法の略で、DEERはDouble Electron-Electron Resonance法の略です。名前は違いますが同じ方法です。この方法を開発したのはTsuvetokovとMolinの二人のロシアの先生です。電子スピン間の20-100 Åの距離を測るパルスESRの方法です。信号感度が大変強く、また距離の精度も高いため、幅広く使われるようになりました。距離測定には電子スピン同士が磁石として引き合う力“磁気的双極子相互作用”を測定しますが、横軸に周波数をとると大きな2つの信号を鹿の角のように見たてられる形ができます(図)。

 “DEER”のネーミングは鹿に因んだ洒落が込められていると思います。しかし、この手法が広まるにつれ発表される論文の数も多くなりました。どのような研究がされているのかを調べるのには文献検索が必要ですが、DEER=鹿なので “鹿”の研究も随分混在してでてきます。これではまぎらわしいといってTsvetokov先生ご本人は “PELDOR”を使うことを積極的に勧めていらっしゃいました。自ら付けた名前であることも理由でしょうね。

 “ESR”と“EPR”も2つ名前があって煩わしいですね。この2つは正確には意味が違いますがほぼ同じものとして使っています。同様にPELDORとDEERもどちらかに統一したとしても併記は必要でしょうね。