Q48. スピンの発見はいつごろですか?

Category: ESR50Qs

 ゼーマンおよびシュテルンらの実験の結果から、1922年にスピンは発見されたと思われる。

 磁場が光に影響することは、1896年にオランダのゼーマンによって発見される。彼は、オランダの小さな町に生まれ、幼い頃から生物や物理、天文に興味をいただいたのでしょう。彼が17歳ときに、オランダでは珍しいオーロラを見て、原子が発光しているのではと感じたのでしょう。ゼーマン効果は、そんな彼だからこそ、ナトリウム原子を磁場の中で発光させた時にD線が分裂する実験事実を見つけたのかもしれない [1] 。(関連事項としてQ6を参照

 1922年にシュテルン(独)とゲルラッハ(独)が行った実験によって、スピンの存在が決定づけられる [2] 。彼らは、銀を高温の炉で蒸発させ、銀原子をスリットで絞り、原子線を作る。原子線が不均一磁場中を通過すると、原子線像は2本に分裂した。ラーモアの角振動数モデルからは、磁場によって、原子線像は奇数本に分裂すると予想していた。しかし、実験事実は2本であり、これまでの量子力学の考え方では説明ができないので、新しい概念として電子の自転運動を導入し、それをスピンと名付けた。(詳細はQ5を参照)