Q06. ゼーマン効果とはどんな効果?

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ここでは、電子スピン共鳴(ESR)に関わる電子のゼーマン効果にスポットを当てましょう。一言で言うと、磁場中で電子のエネルギー準位が分裂する現象をゼーマン効果と言います。

 電子は、量子力学的に「スピン」という自由度を持っています。巷の解説書で「電子の自転」とよく比喩されるものです。このスピンが原因となって、電子はミクロな磁石の性質を持っています。

 磁場がない時、ミクロな磁石はランダムな方向を向いていますが、磁場が印加されると、ミクロな磁石は磁場に対して平行(ダウンスピン)と反平行(アップスピン)に配向します。

 磁石は磁場方向を向いた方がエネルギー的に安定ですので、ダウンスピンのエネルギー準位は印加磁場に比例して低いエネルギーへ、逆にアップスピンのエネルギー準位は印加磁場に比例して高いエネルギーへ移動します。