Q08. Q-dipってなにをみているの? AFCとは?

Category: ESR50Qs

ESRで使う空洞共振器(キャビティ)は、周波数を絞り込むために使っています。みなさんがもしESR装置を使ったことがあれば下の図のような形を見ることがあると思います。これがQ-dipとよばれるものです。

Q-dipの形: 横軸は周波数、縦軸はマイクロ波の強度になります。谷の幅ΔωでQ値の良し悪しが決まります。

横軸が周波数、縦軸が空洞共振器からの反射量、つまり閉じ込められたマイクロ波の強さになります。その効率をQ値といいます。

 Q値は (中心周波数 ω)/(閉じ込めるマイクロ波の周波数幅 Δω) で計算されます。例えば ω=10 GHzのマイクロ波に対して反射マイクロ波の幅が Δω=1 MHzとするとQ値はおおよそ10,000になります。キャビティーの中に特定の周波数のマイクロ波がうまく閉じ込められればQ値が高くなり信号が強くなります。

 ただし、Q値が高すぎると速い時間変化を測定できないこともあります。例えば幅 Δω=1 MHzというのは時間でいうとおよそ1 マイクロ秒です。速い時間変化を取りたいときはQ値を低くしなければうまく測定ができません。

 装置の状態がわずかでも変わると共振器の共鳴周波数 ωも実験中に変わってしまいます。AFCはそれを微調整するための仕組みです。マイクロ波発振器は、加える電圧を変えると周波数が変わるのでQ-dipからずれた分を発振器に電圧を加えて周波数を元に戻しています。